醗酵の郷つくいメンバー紹介 / すどう農園


Fujino marumaru marche 2017

すどう農園 須藤章さん

「里山」とは、大自然(人がいないところ)と都会というふたつの世界の出会う境界を指すらしいのですが、 津久井・相模湖・藤野は豊かな自然に恵まれ、まさしく里山。 

その里山の面白さ、厳しさを誰よりも知っている農家さんである、すどう農園の須藤さん。 

野菜やハーブの生産と加工に加えて「さとやま農学校」や「さとやまメディカルハーブプロジェクト」など、多様な活動をされています。 

さて、どんなストーリーが‥ 


 —須藤さんが里山と出会ったのは? 

須藤:東京から来たのが22年前。友人に誘われました。大学が農学部だったのもたまたま(笑)で、しいて言えば70年代の公害問題が大きかったかな。卒業してから農家の研修生になって、そこで麦を栽培してパンまで焼きたいと思い立ちました。東京に戻ってルヴァンというパン屋で修行をして。やっぱり農業がやりたくて、農業にたどり着きました。長い年月を費やしたよね。 


—すどう農園の前身は藤野で石窯パン屋さんをしていたのですよね? 

須藤:ルヴァンの甲田社長から「農村でパン屋をするなら、石窯がいいかな?」とアドバイスされたんです。藤野のパーマカルチャーセンターのご厚意で一角をお借りして、石窯を自作してパン屋「草の実酵房」を開業しました。石窯はただのオーブンでなくて、自然界の色々な要素に繋がる生活のパートナーです。枝1本、石1つ、崖の粘土、落ちてる柿の酵母・・・全部つながる。それまで僕は都会生まれだったから自然とのつながりなんて何もなかったわけですが、石窯のおかげで段々とつながってきた。そのつながり感覚を味わえる里山は、暮らせば暮らすほどワクワクして、今も続いてます。このワクワク感を原点に生業を始められたのは良かった。


 —須藤さんが主宰されている「さとやま農学校」とは? 

須藤:農的生活や自給に興味がある、どうにかシフトしたい、という都会の人たちの受け皿です。都会と農的世界の両方を知る人間として橋渡しをしています。農学校専用の畑で、種まきから収穫まで一貫して主体は農学校の皆さん。教えているのは根源的なこと。土とは、肥料とは、、そもそも植物がどうやって育つ?という根っこです。新規就農の人でも、こういう基本が分かっていないことが多いんです。そして皆さんにいつも話すのは「五感を開いて感じてください」と。柔らかい感性と自然界への基本的な仕組みが見えてくれば、どこでどんな農の現場を見ても「こういう考え方でやっているのかな」って解釈の道筋が立つんです。農産加工もやります。味噌やこんにゃく、石窯でピザを焼いたり。五感がわくわくしてもらえたらと思っています。


 —首都圏の里山ということで、都会から来る方が多いですか?

 須藤:多いですね。そもそも里山は都会との間で人やモノが往来する空間ですから。 現代は平野(=合理性)の時代です。つまり1分や1日、3カ月という短い時間を単位にしたものさしが圧倒的で(それは野菜栽培もそうなのですが)、自分が生まれる前から死んだ後まで通してまなざしを投げる、そんなものさしが見えなくなっているでしょう。情報化社会なのに視野が狭い。高速道路になるほど視界が狭くなるのと似ているよね。だから都会(あるいは平野)の持つ合理性一辺倒のものさしでは、適応できない人がいるのは当たり前で。 里山では「そういう生き方ばかりじゃない」と気づいてもらえる機会になればいい。農法よりなにより大事に伝えたいのは、そっちなんです。 


—畑の肥料はどうしていますか? 

須藤:動物を飼っていないので厩肥も使わないし、もちろん化学肥料も使っていません。動物の飼料はほとんど遺伝子組み換えの輸入飼料と、抗生物質を大量に投与された生活です。なので由来のわからないものは使いたくない。畑に生えてきた草や里山の落ち葉、米ぬか、無農薬のキノコ廃菌床を使っています。まずは微生物と植物が育つ小宇宙を整える、それがひいては人間の身体になるから。いまも毎年新しい試みを実験しているけれど「ここはこうして欲しいんだな」って、少しは植物の気持ちがわかってきたかな。 


 —種取りもしていますか?

 須藤:カブやニンジン、キュウリなどに絞っています。種取りは大事なんですが在来種の野菜だけで商売するのは大変だから交配種も育てています。だから自給で野菜をつくる人ほど種を取って欲しい。自給にとってはむしろ収穫がずれる不揃いがいいからね。「我が家の種(エアルーム)」をつなぐことが過去を未来へ繋いでいくことになる。ペイ・フォワードだよね。 


(ハーブガーデンに移動) 

 —色々な種類のハーブを栽培されていますね。 

須藤:お茶や料理、加工に使うハーブから日本の在来のもの、アユルベーダや西洋で古来から使われてきた薬草(メディカルハーブ)も専門のハーバリストの先生に教わりながらです。寒さに弱いものは、例えばレモングラスやユーカリ、月桃などは、昔住んでいた宮古島の農園で自然栽培で育ててもらっています。


 —珍しいハーブが多いですね? 

須藤:たしかに多いですが、身近にあるものを再発見・再評価することも大事なので、在来のハーブも大事にしています。ドクダミ、オオバコ、カキドオシ、ヨモギ、スギナなど、雑草扱いされているけれど大事な仲間です。 


 —メディカルハーブプロジェクトではどんなことを? 

須藤:ハーバリストの先生や受講生の皆さんと一緒に、里山を歩き回って植物を採集したり、農園でメディカルハーブを育てたり、チンキ、クリーム、ハーブウォーターなどを作ったりしています。石窯のときと一緒で、野菜以外の植物世界と段々つながりができてきました。 


—新たに考えていることなどあったら教えてください。 

須藤:9月から発酵シリーズの講座を企画しています。青根という丹沢のふもとに「草木館」という地元の材でつくった素敵な建物があって、そこでシリーズを打ちます。水源の森が水を湛えて、それが里山から平野を潤して都会にも繋がっている、そんな道筋が見える講座にしたいと思っています。 もうひとつは草木染。服とはすなわち身にまとう薬ですから、とても深い世界。まずは植物文化を再生したいので、地域の人たちや農学校の卒業生の人たちと手を動かして楽しんでいます。これはぜひ、農業ではない方々の眼差しを重ねていきたいので、よろしくです。 


・・・普段のイベントはどうしても「売らんかな」の商品説明で終わってしまうから、まるまるマルシェは、細くて長い繋がりのきっかけになったらいいよね。と話してくれた須藤さん。

思わず、はい先生!と言ってしまいたくなるほど、相手のこと全体のことを考え、優しく大きく、素敵な笑顔で包んでくれるのでした。

 (撮影:三谷 浩)


 【すどう農園データ】須藤章さん 

生産地:相模湖、道志川近く(緑区寸沢嵐) 

規模:約1ヘクタール+300㎡のハウス 

栽培品目:約80品目(ハーブも含む) 

栽培方法: 無農薬、化学肥料、除草剤不使用 

出店情報:第1、3火曜ビオ市(夏は休み 藤野倶楽部にて)      

     藤野観光案内所ふじのね(藤野駅隣接)←加工品のみ      

     野菜は「つくいやさい」での予約販売 

HP:http://sudofarm.net 

FB:「すどう農園」 https://www.facebook.com/Madovege/ 

https://fujinomarumarumarche.localinfo.jp/posts/1126029

醗酵の郷つくい

いま生きているイノチに手を添えて、 あたらしいイノチに生まれ変わる不思議。 地上に満ちるイノチの無限。 言葉を持たない天の餐。 醸して。食べて。つながって。

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